「Webディレクターの三大美徳」を勝手に考える

「 プログラマーの三大美徳 」が好きだ。

1.怠慢(Laziness)
2.短気(Impatience)
3.傲慢(Hubris)
 

というもので、プログラミング言語Perlの生みの親として著名なLarry Wall氏が定義したらしい。

たとえばもっとも重要な1つ目の「怠慢」についての説明はこう。
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怠慢
全体の労力を減らすために手間を惜しまない気質。この気質の持ち主は、役立つプログラムを書いてみんなの苦労を減らしたり、同じ質問に何度も答えなくてもいいように文書を書いたりする。よって、プログラマーの第一の美徳である。

引用元:https://tech.nikkeibp.co.jp/it/article/Watcher/20061005/250057/?rt=nocnt

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真理をつくための逆説的な表現で、 プログラマーではない自分も凄く納得してしまう。

私の職業でもあるWebディレクターについてもだれか偉い人が三大美徳を考えてはいないかな?と以前から探しているのだが、現時点ではないようだ。

なければ自分で作るしかない。
Larry Wall氏と比べるべくもない極東の無名Webディレクターがそれを作るなど恐れ多いが、考えるのは自由ッ!
というわけで勝手に作ったよ。

1.断る 
2.眠る
3.訝る


ってどうでしょう。


1.断る について

Webディレクターは、やるべき/やらないべきこと、可能/不可能を厳格に区別せねばならない。
クライアントやチームメンバーとの折衝でフロントに立つため、ランダムな要求や課題に直面する。時には板ばさみでけっこうな圧もかかってしまう。さすがは週刊SPA!でかつて「早死にする職業ランキング」1位に輝いただけある。

しかし、その圧に屈して根拠もなく「できらぁ!」と安請け合いすると高確率でプロジェクトが炎上するのも事実。
そうではなく、時には指示や依頼を断りつつ、じゃあどうすればゴールに向かえるのか?ということを突き詰めるのがWebディレクターの役割ではないだろうか。
なお、断ることが目的にすり替わっちゃうと、たんに仕事しない変な人になっちゃうのでそこは注意が必要ですよね。

2.眠る について

Webディレクターは疲弊してトラブルが起きる”前に”休む、ひいては睡眠を重視せねばならない。
厚生労働省だって「睡眠不足は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にし、適切な判断力を鈍らせる」と、当たり前のことを強調している。

ディレクション業務では大小の判断を正確かつ素早く下すことが期待されるわけだが、ううう……いつも不正確でノロマですみません……などという私の個人的な話がしたいのではなく、そう、休息をとっていないと判断の質が明らかに落ちてしまいますよね。
疲れてからでは遅く、先回りして休むことが正義であり義務なのだ。


睡眠不足でイライラやネガティブな言動が増えると、それらは集団内に確実に伝播する。
そして予期できないトラブルに発展しやすい。
特に感情的なもつれは理屈が通じなくなるのでやっかいだ。
そういう意味で、自分自身だけではなくチームメンバーやクライアントの休息を加味したスケジューリングが超・重要。「がんばって(徹夜で)なんとかします/しろ」という人が現れることを全力で回避しなくてはならない。
たんなる優しさではなく、その”がんばり”が結果的にプロジェクトを停滞や崩壊に導いてしまうからだ。

「徹夜自慢は無能自慢」(※1)という言葉は、毎日写経したいくらいである。

※1「 研究をはじめる前に知っておいて欲しい7つのこと / Welcome to Lab

3. 訝る について

Webディレクターは楽観的な思い込みを排除して、すべてを訝らねばならない。
伝えられた要件をそのままにせず「本当にそうか」「なぜそう言えるのか」ということを突き詰めていくのが仕事。
デジタル大辞泉(小学館)によると、「訝る」の意味はこう。
==
いぶか・る
1 疑わしく思う。怪しく思う。
2 はっきりしないので気がかりである。心もとなく思う。
==

もしオリエンテーション時にクライアントから「ターゲットは都心在住で可処分所得が多めの20代女性です」と言われたとしても、「そいつは華やかだねぇ」とぼんやり受け止めたい気持ちをグッとこらえる。
「なぜそう言えるのか」という理由を確認し腹落ちしたうえで案件を進行していかないと、その先のデザイナーやエンジニアとの連携でブレが生じてしまうからだ。
したがって、刑事コロンボ的に「すみませんあともう1つだけ…… その根拠はなんでしょう ?」 とねちこく探っていくことを躊躇してはいけないのである。

同様に、たとえばアクセスログを見る時にも都合のいいデータや上っ面だけなぞらないように訝った視点で向き合わないといけないし、サイトのデザインについても例えば「なぜこの配色じゃないとだめなのか」ということをしっかり言語化できるよう、あらかじめ訝り倒しておく必要がある。

なお、ここまで前のめりで熱く語ってきたが、以上の3大美徳はまったく広がらないだろうと訝っている。
なぜならこういったフレームワーク的なものの一般化は「だれが提唱するか」にかかっているからだ。 しのびねえな。
プログラマの三大美徳だってそうだし、たとえば「7S」などのフレームワークもマッキンゼーが提唱したからこそ広まったわけで。
とはいえ、Webディレクターで集まって三大美徳に値するものを議論したら面白いだろうなあ。
どなたか一緒に考えていただければ嬉しいです。