無料で公開されていて、読み応えのある書籍『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』と『NEXUS 情報の人類史』の序文をポッドキャストでご紹介しています。

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このポッドキャストでは、スモールビジネスやその周辺のカルチャーについての話題をお届けしていきます。
再生ありがとうございます。ウェブディレクションと音源制作を手掛けるシララ株式会社の伊東宏之です。
だいぶ今回ですね、更新が空いたんですけれども、これには理由があってAIの進化があまりにもすごすぎて、自分でポッドキャストを録音しようとしても、この話題ってAIに聞いちゃえば終わるんじゃないかと。わざわざポッドキャストで語れるほどの情報でもないかなという疑問が生まれやすくなってしまって、それでなかなか録音するきっかけにならなかったんですよね。
もちろん今日お話しすることだって、究極的にはAIに聞いてしまえば、すぐサマリーにしてくれるような情報だったりするんですけれども、そのポッドキャスト自体が何かタッチポイントになって、新しいことを知る機会になる、そういう方がもしもおられれば意味があるかなと思って録音をしております。
さらに言うと、人間の話す内容の主観とか、あるいは揺らぎというすごく不完全なものというのが、むしろAIにはまだないので、それが逆に良いのかなという結論にも達しました。
今回はビジネスパーソン必見の無料化された書籍を2つご紹介したいと思います。
まず1つ目なんですけれども、1つ目が『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』。2つ目が『NEXUS 情報の人類史』の序文ですね。
早速1つ目なんですけれども、このナヴァル・ラヴィカントさん。このシリコンバレーの最重要思想家と呼ばれる方の言説をまとめた本なんですけど、これが普通に本で売られているんですが、PDFで全文読めてしまうんですね。公開もされてるんですよ。で、和訳もとっても上手だし、語り口が非常に簡単な話し言葉なので、めちゃくちゃ読みやすいんですよね。
内容はすごく正直に言うと、成功している方のインタビューとかって、やはりどこか似通ってくるというか、どこかで見たことあるような言説が所々見られるんですね。ただ、それがですね、この1つのPDF、1つの本に高い濃度でギュッと集約されてるんですよ。
ですので、僕らがスモールビジネスをやっていて、そういったことを一気に知識として読みやすい、吸収率が高いというんですかね。そういった形で効率が良い、そういった形で読めると思います。
この内容なんですけれども、ポイントがざっくり3つあると思いました。
1つ目のポイントなんですが、これは特殊知識を特定して磨く。特殊知識を特定して磨く。この特殊知識というのをどう特定するかというと、訓練できないような自然と身についている振る舞いとか知識、例えば、人当たりの良さとか、そういうものってなかなか得ようとも難しいですよね。あとは、自分にとって遊びのように感じていても、人から見れば仕事になっている。例えば、プログラミングとか、あるいはデザインが大好きだとか、そういった方いらっしゃると思いますし、あとはクリエイティブ方面でなくても、営業の数値を追うのが非常にゲーム性があって楽しいという風に感じる方もいらっしゃるじゃないですか。なので、こういったものを自分の中で特定して磨いていきなさいということが1つ目ですね。
これはですね、実は僕が大好きな水木しげる先生も同じことを言っていて、「しないではいられないことをし続けなさい」という風にですね、これが人間が幸福になる条件として掲げていて、なんかやっぱり同じことを言っているなという風に思いました。1つ目は知識を特定して磨くというものでした。
そして2つ目、説明責任を引き受ける。この説明責任というのはアカウンタビリティと呼ばれるものですね。自分の名前のもとに事業リスクを引き受ける、これを意味しているわけですよね。このナヴァルさんは、社会はその見返りとして信頼や資本を与えてくれるという風に話しているわけですね。こうやって言語化されると何というか分かりみが深いですよね。その説明責任を引き受けたものにだけ社会は見返りとして信頼や資本を与えてくれるということですよね。
特にこれは必死で事業を回している方なら、この辺はすごく肌感としてわかるんじゃないかなと思います。自分の名前でリスクをとって、結果に対して全責任を負うという姿勢を持ってやっと信頼を得ることができる。たまに独立していても、自分の引き受けた領域にあまりコミットしない人っているじゃないですか。なぜかすごい受け身で、わりと雑な仕事をしていたりする人って、もちろん僕も怖くて付き合いないですし、いつの間にかやっぱり界隈から消えてしまうというのを実際に見ますからね。なので、こういったですね、端的に言えば覚悟ってやつですかね。これを持とうぜっていう話だなというふうに解釈しました。2つ目は説明責任、アカウンタビリティを引き受けるというものでした。
そして3つ目、レバレッジを最大限に活用する。このナヴァルさんはレバレッジなくして富はないというふうに断言してるんですよね。なので、たぶんこの3つ目のレバレッジを最大限に活用するというのが一番大きな要素だというふうに解釈しました。
で、面白いのがですね、2つ目で話した先ほどの信用そのものもレバレッジだと。この信用があるからこそ、自分の指示で何人もの人が動いてくれたりとか、自分が持っていない、自分が持っているものを何倍ものお金を調達できるというレバレッジが効くということですよね。もう1つレバレッジの例としてナヴァルさんが主張しているのが、ソフトウェアとか書籍、ブログ、動画、ポッドキャストなどのメディアを自分で持つことだというふうに言っています。これで自分の取り組みを何倍にも拡大できると、そういうふうにおっしゃってるわけですね。
確かにそういえばそうですよね。まさにこれを聞いてくださっている方と僕も時間と空間を超えて、こうやって繋がっているわけですし。ちなみに良い子ぶるわけじゃないんですけど、僕個人はそこまでこのポッドキャストというものでレバレッジというものを考えてやっているわけではないんですよね。どちらかというと音声メディアの可能性を感じて、とにかく実験的にやってみようと思ってやっているだけというところがあるんですよ。なのでこれはむしろ一つ目にご紹介した特殊知識の話とちょっとリンクするかなと思っています。3つ目、レバレッジを最大限に活用するというものでした。
これが今回の一冊目でご紹介する『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』の非常にかいつまんだ内容です。全文はもちろんpdfで公開されているので、ご興味があればぜひ読んでいただければと思います。
そしてもう一つの書籍、『NEXUS 情報の人類史』ですね。この序文が無料で公開されているわけですね。著者はサピエンス全史で一世を風靡したといっても良い、ユバル・ノア・ハラリさんですね。何人かの方がすでにインターネット上でも指摘はされているようなんですけれども、この序文を読むだけで基本的にこの本の主張がわかってしまうという恐ろしくまとまった序文なんですよね。
なので本を買うか買わないかを考える前に、とりあえず序文だけ読んでしまえばだいたい内容はわかるという非常にお得な序文ですね。というわけでその序文をさらにざっくりとかいつまんでご紹介したいと思います。
どういう内容かといいますと、まず人類はもはや大きすぎる力を手に入れてしまっている。その力が大きくなりすぎて制御できないものが生まれているよというふうにハラリさんは主張しているわけですね。これは後ほどお話ししますけど、つまりAIのことですよね。
まず人類の歴史でそういった力の源、背景となったのは個人の能力ではなくて、大規模な協力ネットワークだというふうに主張しているわけです。この協力というのは強い力の方の意味じゃなくて、力を合わせる方の協力ですね。
人類はこのネットワークを事実とか真実ではなくて、神話や虚構、時に集団的妄想で維持してきたというふうに主張されています。これはもう完全にサピエンス全史でも触れていた認知革命のことですね。私もすごく印象に残っているんですけれども、人類にはありもしないものを信じる力、これを手に入れたことが人類の発展に寄与したということですね。
ただ歴史を振り返れば非常に悪い方の例として、ナチズムとかスターリン主義のように虚構に基づきながらも強大なネットワークが存在したと。こうしたネットワークは崩壊するとは限らず、時に長期的に世界を支配する可能性すらあるとハラリさんは警告しているわけです。
今まで人間はそういったネットワークによって、個人では到底望めない成果も手に入れているんですよね。分かりやすいところだと医学の発達。病原体の情報を集めて原因を突き止めて薬を開発するとか、あるいはGoogleなどを中心としたインターネットの知識の集積も同じことが言えますよね。なので基本的に人類は情報ネットワークとか、あるいはテクノロジーに素朴に肯定的なスタンスを持ってしまっているという背景もあるわけですよね。
ここに今AIが覆いかぶさろうとしているわけです。AIはもちろん国とか企業とか個人をまたいだ巨大な協力ネットワークの中で力を発揮するわけですよね。これまでも人類は大きなネットワークを作ることで力を得てきたんですけれども、その結果を支えてきたものは先ほどお話したみたいに必ずしもファクトだけではなくて、政治的な物語とか神話とかストーリーといった虚構によって支えられてきた。
もしこの虚構で成り立つネットワーク構造にAIがオペレーションの中心に置き換わったらどうなるかと。ここが怖いわけですよね。
ハラリさんが警告するのは2つの未来です。1つ目はAIが国同士の対立を加速させる未来。国家や企業がAIを使った軍拡競争とか、あるいは経済競争ですね。これを激化させて、冷戦時代の鉄のカーテンに変わってチップやコードによるシリコンのカーテン。これでも世界を分断してしまうんじゃないかと。
2つ目は、これも1つ目とほとんど同じだと思うんですけども、AIが全人類を支配する未来ですね。これ、ちょっと前までSFのテーマだったんですけどね。もうAIが監視とか意思決定の中心となってしまって、人間以外の知能が事実上の支配者になってしまう。そうしてしまうと誰も止められない情報の檻、牢屋が完成してしまうというふうにハラリさんは主張してるわけですね。
なのでここが非常に問題で、目の前に迫っている。ただかといって、危険だからAIを全く使わないっていうことはもう絶対にないわけですね。止められないですね、この流れは。それに逆に今、これまでの情報ネットワークで我々人類が向き合ってきたように、「情報さえ増やせば解決策が増える」というような楽観的なものでもない。どちらでもない、ものすごく舵取りが難しい状態に今人類は立たされているんですね。
ですので、その情報をどう扱って、どういうふうにネットワークに組み込んで、さらにどう制御するかという思想や哲学の話にもなってくるということですよね。これは僕の解釈ですけれども、そういった思想や哲学自体が目に見えないものを信じる人類の特性でもあるわけで、それをどういうふうにネットワークに組み込んでいくかというのが大きな課題だということですね。
なので、結構抽象的というか大きいテーマなので、これがもう我々の明日からのビジネスに活かせるかというと、そうではないとは思うんですけれども、すぐには何か活かせるような話ではないと思うんですけれども、これはビジネスパーソンの知識とか教養として、この警告自体はベースとしてしっかりつかんでおかなければいけないんだなというふうに思いました。
というわけで、今回は2つの書籍をご紹介しました。よろしければフォローとかご感想をいただけるととても嬉しいです。