#15 掛け合わせやズラシが上手いビジネスアイデア Vol.2【スモビる! #15】

お見事!と声を出したくなるようなアイデアについて知ることが好きです。
今回もポッドキャストで3つの事例をご紹介しました。

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AIによる要約

このポッドキャストでは、以前の第4回目と同じく「ビジネスの掛け合わせやズラし」をテーマにしています。今回は3つのビジネスアイデアを紹介。最初は「完全禁煙マンション」で、禁煙の程度による入居倍率の違いを説明。次に、看護師資格を持つ動画クリエイターによる「終活ムービー」を紹介し、看護師の経験が生かされたサービスの特徴を解説。最後に、モバイルバッテリーを運ぶバイトの話題が取り上げられました。

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このポッドキャストでは、スモールビジネスやその周辺のカルチャーについての話題をお届けしていきます。
再生ありがとうございます。
ウェブディレクションと音源制作を手掛けるシララ株式会社の伊東宏之です。
このポッドキャストの第4回目で、掛け合わせやズラシが上手いビジネスアイデアについてお話ししたんですけれども、このポッドキャストの中での比較なんですが、再生回数が相対的にちょっとだけ良かったので、今回はその第2弾をお話ししたいと思います。
掛け合わせビジネスってどういうものかというと、例えば今は当たり前になりましたが、
カフェと本屋を組み合わせるとか、第4回の時にお話ししたような、
eスポーツと英会話レッスンを組み合わせた、そういったものですよね。
そうやって組み合わせたり、ちょっとだけズラしたり、派生させて展開させるようなビジネスで、
これは上手だな、スモールビジネスにも反映できそうだなと思わせるもの、
そういったものを今回も3つほどご紹介したいと思います。
まず1つ目、「完全禁煙マンション」です。
これは健美家という不動産情報を扱う有名なウェブサイトで紹介されていた事例でして、
概要欄にもURLを貼っておきたいと思うんですが、
東京都大田区の新築賃貸マンションで、カーメスト石川台というところがあるそうですね。
そこがA号棟とB号棟に建物が分かれていると。
A号棟は規約として敷地内が完全禁煙、つまり自分の借りる部屋の中も禁煙だということなんですよね。
そしてB号棟は共用部分が禁煙、これはつまり廊下だとか、
あとはベランダも共用部分に入ると思うので、そういったところが禁煙だということですね。
結果としてA号棟の入居倍率が12.1倍、そしてB号棟は6.2倍だったそうなんですね。
A号棟は間取りも子育て世帯向けの部屋が多いそうで、それもあってこれだけの人気だということではあるんですけれども。
この12倍と6倍という入居倍率のすごい差なんですが、
マンション内でよく聞くトラブルというのが、
ベランダを通じて隣の部屋で吸っていたタバコの煙が窓を開けたら匂ってくるとか、
あるいは洗濯物に匂いがついてしまうとか、そういったトラブルをよく聞きますし、
特に妊婦さんとか赤ちゃんとか、それだけじゃなくてご病気の方だったりとか、
そもそもタバコが苦手だという方にとっては本当にこういったことはやっぱり嫌だと思うんですよね。
今まで日本社会ではそういった当たり前に嫌だよ迷惑だよという主張がどちらかというと通りにくかったかと思うんです。
これは完全に推測ではあるんですけれども、不動産業界に限らず
タバコを当たり前に吸うおじさん層が主導で商品が開発されたり提供されていたということが少なからず今まであったと思うんですよ。
昭和平成的なビジネスのしぐさと言いますか、
そういった背景であればこういう完全禁煙マンションみたいな商品は却下されてたんじゃないかなと。
今回このマンションはそういったことから脱却して発想をずらして結果としてこの倍率12倍だということなんですよね。
なのでそういったところが本当にお見事という感じがします。
そしてふと分譲マンションでも同じような事例がないのかなと思って調べてみたら、
すでに敷地内禁煙を導入したところが見つかりました。
兵庫県明石市の分譲マンションでの事例なんですけれども、
これは新型コロナの影響だったりとか、それによる在宅時間だったりとか、
そもそも煙がつらいとかそういった背景があってできたようなんですね。
またやっぱりその賃貸ではなくて、いわゆる区分所有している状態で入居者が入っていて、
そこで規約の改正ができたっていうのがすごいなと思います。
やっぱりこれは合意を形成することがかなり難しかったんじゃないかなと思うんです。
なので管理組合の手腕がすごいのかもしれないなというふうにも思いました。
一つ目はというわけで完全禁煙マンションです。

そして二つ目なんですけれども、看護師が提供する終活ムービー。
この就活というのは終わる方の活動ですね。
人生の総まとめの方の活動の「終活」を指します。
ご高齢だったりとか人生の終焉を意識している状態の人に、
動画クリエイターがインタビューをしていて、
丁寧にそのインタビューの様子やあるいは故郷までロケに行って、
その方の人生の総括をするような動画作品を撮るというサービスなんですね。
これを看護師の資格を持っている人がやると。
この対象者は別に余命わずかとかではなくて、
元気なんだけども、人生の総まとめとしての終活の一環として、
残る人にメッセージを伝えたいとか、自分を振り返りたいとか、
そういったことを考えている方を想定しているサービスになりますね。
これを提供しているのが先ほどお伝えしているように、
看護師資格を持つ動画クリエイターだというのがミソなんですよね。
このサービス実は私の結構近い存在の人がやっているので、
ひいきだと誤解を受けないようにするのが難しいなと思いながら、
今回取り上げているんですけども、客観的にナイスなアイデアだなと思いました。
このサービスを立ち上げた本人というのは、
看護師として大きな病院で勤務してきたというバックグラウンドを持っているんですね。
その後で動画クリエイターになったと。
看護師としての勤務時代に、これまで非常に多くの人の最後を見てきて、
その過程で人間が人生の最後をどういうふうにまとめるか、
受け入れるか、あるいは伝えるか、というものについての課題を感じたようなんですよね。
やはり看護師というバックグラウンドがあるというところで、
すごいなと思ったのは、人生の終焉を迎えようとしている、
あるいは意識している人、ある意味センシティブな状態の人に対しての寄り添いが、
看護師経験がなせる技というか、やはりプロフェッショナルなんですよね。
なので、そういったバックグラウンドのない人が、
同じような動画を作るのと比べて、
プランニングの段階からと、
あとは現場でのちょっとした声かけまで、
1から10まで違ってくるわけですよね。
“看護師”と”動画制作”って、
遠すぎて、あんまりその2つを掛け合わそうとは普通は思わないじゃないですか。
でもそこに”終活”というファクターを入れると、
一気に整合性が高まったという、
これがビジネスのアイデアとしてお見事だなと思って、
今回ご紹介いたしました。

次3つ目。
3つ目はモバイルバッテリーを運ぶバイトです。
これだけちょっと毛色が違うんですが、
コンビニやカラオケ、あるいは駅などで、
チャージスポットってありますよね。
モバイルバッテリーを借りるスポットだと思うんですけれども、
このモバイルバッテリーを回収したり、
あるいは補充したりするスポットワークと呼ばれるものが注目されているようですね。
隙間時間で働けるので、
マイクロワークとかギグワークと呼ばれる範疇のもので、
1個運んで何十円とか、
そういう割と小さい単位の報酬ですから、
正直そこまでは儲からないらしいんですよね。
ただ、ずっと外回りをしている、営業のお仕事をしている人とか、
あるいはすでにフードデリバリーをやっている人が、
ちょうど自分の動く範囲で案件があれば、
ついでに寄っていって運ぶと、
そういうふうにするととても効率が良いと。
あるいは運動したいとか、
ウォーキングしたい、自転車に乗りたいとか、
そういったニーズのある人が活用しているケースもあるようですね。
そういったふうに別の用事での移動を活用するとか、
個人の運動したい欲求による行動とうまく掛け合わせたビジネスであり、
ある意味でサービスでもあるという、
働く人に対してもサービスをしているような、
ちょっと面白いニュアンスのある立ち位置のものだなと思って今回ご紹介しました。
今までであれば少し似たようなポジションのものだと、
例えばチラシを入れるポスティングのアルバイトとかがあったと思うんですけれども、
これはどうしてもエリアが決め打ちになってしまうので、
やっぱりそこが課題になっていたと思うんですけれども、
このモバイルバッテリーを運ぶスポットワークだとその課題がすべて解消していますから、
なかなかこれもすごいなと思いました。

というわけで、掛け合わせやずらしがうまいビジネスアイデアを今回も新たにご紹介しました。
もし感想などお聞かせいただければとても嬉しいです。

今回取り上げた事例

1 完全禁煙マンション
https://www.kenbiya.com/ar/ns/release/r_others/7783.html

2 看護師資格を持つ動画クリエイターによる終活ムービー


3 モバイルバッテリーを運ぶアルバイト
https://www.spotwork.net/spower/index.html