日経ビジネスにて、良インタビューがあった。
テレワーク(リモートワーク)、ひいてはWeb会議(オンライン会議)の活用について孫泰蔵氏が答えたものだ。
会議もオンライン化が加速的に進んでいます。
「そうは言っても、リアルなコミュニケーションには勝てないでしょ?」
と疑う人は多いかもしれませんが、技術面の現実的な予測として、5年後にはリモートワークのストレスはほぼゼロになります。
<中略>
一方で、常に感じてきた違和感があって、僕は1人でビデオ会議に参加しているのに、相手はオフィスに集合して5人まとめて画面に映っていたりするんですよ。
「どこで働いてもいいんだから、皆バラバラでいいはずなのに、なんで集まってんの?」と。
<中略>
朝の通勤ラッシュって地獄じゃないですか。狭い空間にギュウギュウと詰め込まれて、1時間以上も揺られるだけなんて。人類の恥ずべき歴史として語られる奴隷船の絵図と何も変わりませんよ。
引用元:「オフィスと社員はもう要らない」
全く持ってその通りだと思うし、私も積極的にWeb会議を活用している。
とはいえ、会議を始める前にちょっと憂鬱な時もある。
Web会議における「音声の環境整備」がなされていないことが多いからだ。
皆さんも、いざWeb会議を始めると、相手の声がよく聞こえなくてイライラした、それどころかはじめてみたら音声やカメラ映像が全く届かなかった・・・という経験はないだろうか?
これは参加者全員の集中力、判断力、そして貴重な時間をジワジワと奪い、まとまる話もまとまらなくなってしまう。
しかし、ちょっとした工夫でそれらはかなり解消できるのだ。
1.音声用の外部デバイスを導入
特に1:1:1…といった感じで、各参加者が一人づつ別の場所から会議に参加する場合に重要なことは、
・声をクリアに相手に伝えるための「マイク」
・聴くための「ヘッドフォン/イヤフォン」
を参加者全員が用意するということだ。
たった1人でも音声環境が悪いと他の全員に影響があり、会議はスムーズに進行しない。
多くの人はノートPC本体に付属のちっさーい穴(=マイク)から会議に参加してしまうが、そこに元凶がある。
特に仕事で支給されるようなWindowsのノートPCにおいてそれらはオマケ程度の性能であることがほとんどで、ちょっと小声になったり顔が遠のくと、相手方には途切れて聞こえたりゴニョゴニョ声になってしまう。
これではあなたの鋭い意見やユーモアも相手には届かず微妙なリアクションが返ってくるだけだ。
↓下の写真は何の変哲もない私物の2000円ぐらいのヘッドセットマイクだが、これを使うだけで話すのも聞こえるのも劇的に違う。
特にこのヘッドフォン型だと自分自身も聞こえやすいのでストレスがかなり減って疲れにくくなる。
そして、なにより口元でクリアな音声を拾うことで、他の参加者に迷惑をかけない。
気をつけないとたまに鼻息がフシュ―っと入りかねないが、多少はよいではないか。
イヤフォンだけをつけて自身が聞く環境だけ整えている人も多いが、それだけでは不十分。
特にカフェや会社のオープンスペースにおいてノートPC付属のマイクは周囲の雑音をかなり拾ってしまい、周囲のノイズばかりが聞こえてしまうこともある。
繰り返しになるが、これは他の参加者の集中力や精神力を削ることになり、会議の質が下がる。迷惑をかける。
もし持ち運びなどの問題で使えないヘッドフォンはちょっとしんどいという場合は、片耳にかけるコンパクトタイプもある。
装着感や会議への没入度はヘッドフォンタイプより落ちるが、有ると無いでは雲泥の差だ。Bluetoothタイプなどもあるので、ぜひ活用したい。
余談として、PC側の端子が穴1つで入出力を兼ねる場合(4極タイプ)と、マイク入力と音声出力で別れており穴が2つあるタイプの2パターンがある。
少し年数が経っていたり廉価なパソコンでは後者の2つ穴タイプが多い。
1つ穴のタイプだと「iPhoneのマイク付きイヤフォンがそのままでは使えない」という事象も頻発しているらしいのでこの点も注意が必要だ。
参考:iphoneのイヤホンがPCでつかえない- Yahoo!知恵袋
一人 VS 複数(片方が会議室などに集合している)という場合
よくあるパターンだが、これはなかなかくせ者だ。
たとえばこちらは密室に一人。相手方は会議室で5名ほどいて、オンライン会議用のノートPCは1台という場合がある。できれば避けたいけどそうもいかない。
↓相手方はこんな感じ。
Image used under license from Freestock.com
相手方にヘッドフォンをつけてもらうことはできないとはいえ、これではあまりにも音声の環境が悪すぎる。
↓特にノートPCの位置から考えて、机の対面にいる3人の発言はだいぶ聞き取りにくい状態だ。女性二人はもはや会議に参加していないではないか。
これは、(すでに導入している企業にとっては「何をいまさら」な話だが)下の写真のようなたった数千円の会議用のマイク&スピーカーを導入することでかなり解消する。
また、あちら側の表情やうなづきなど非言語的なメッセージ、いわゆる「空気」がわかるようにカメラはできるだけONにしておきたい。
要所要所で、意識的に表情でコミュニケーションをとる配慮も必要だ。
ここまで読んでいただいて分かったと思うが、「これらを準備しておきましょうね」と事前に相手方とすり合わせておくことが重要なのである。
2.めんどくさがらずに、事前リハーサルをしておく
仮に音声デバイスを準備しておいても、いざ会議が始まってみたらPCの設定が上手くできずカメラが映らない・音が届かない・聞こえないなどといったケースは多い。これをやらかすと単純に迷惑をかけるし、PC音痴の仕事が出来ない人として認知されかねない。
したがって、
「初めて接続するPC同士の場合、前日か遅くとも会議の15分前に音声が届くかリハーサルを済ませておく」
ということも忘れずにおきたい。
もし相手がいなくても一人で設定画面からカメラやマイク入力が反応しているか確認できるし、ものの30秒で終わる話だ。何事も準備八割。
これをやっておけば、会議前にいらぬ不安を抱えずに済む、というメリットは大きい。
そしてもしも突然うまくつながらなかった時のために、保険として別サービスのオンラインミーティングルームを用意しておくとさらに安心だろう。
・Zoom
・GoogleMeet
・Teams
・whereby
・Slack
・Workplace
・チャットワーク
・Skype
などなど多くのツールがあるが、それぞれ使い心地にクセがあるので事前に試しておきたい。
3.会議中は「画面共有」を意識的に使う
ここまで事前準備をしっかりして、音声もカメラも双方向でしっかり届くと分かれば、今度は会議中の視覚的要素の工夫。
「いま画面共有しておいたほうがいいものはないか?」ということに意識を向け、オンライン会議ならではの画面共有機能を積極的に使いたい。
※もちろんこれもリハーサル時にうまく映るか要・確認。
もちろん相手方の表情や会議室の風景は見えていた方が良いが、ずっと見ている必要はなく、それなれば画面共有している方が生産性は上がる。
議論の対象となっているウェブサイトや読み合せ中の資料など、映すと刺激をうながすものがあるはず。
それに、相手側に自分の顔が無駄に映り続けるという妙なプレッシャーからも解放される。
一昔前は画面共有機能の安定性が微妙なものもあったが、最近ではどのツールも実用的なクオリティとなっているので使わない手はない。
追記(2019.5.29)
この件について、すばらしいまとめがSNSに流れてきたのでシェアします↓
テレビ会議を劇的に円滑にする簡単なノウハウ