『メイキング・オブ・モータウン』(寸評/感想/レビュー)

数々の名盤を生んだモータウンレコード創始者、ベリー・ゴーディの回想を中心に語られるドキュメンタリー映画。
この手の音楽映画は劇場の音響で味わわないともったいないし、しかもこの手の作品はいつ上映終了するか分からないので、急いでアップリンク京都に足を運んだ。

画像は『メイキング・オブ・モータウン』公式サイトより

箇条書きの寸評(少量のネタバレ含む)

・仮にモータウンを全く知らない人でも起業家の一代記としておそらく楽しめる。
ただしすべて本人談なので、チラホラと噂にあるような闇の深い話はあまり語られない。
最後のほうで「ワイは金と女だけを追いかけていた!」みたいなジョークともマジともわからない発言はでるけど。

・ジジイたち(控えめに言って音楽界の神ですが)のキャッキャウフフに萌える。
歳をとってあんなにじゃれ合える関係性の人がいるのはすごく羨ましい。
もちろん、時にぶつかり合いながらも苦楽を共にしたからこその距離感・関係性なのだと思う。

・事業に失敗してフォードの製造工として勤めたベリー・ゴーディは、自動車の大量生産にヒントを得て音楽の商業化に大成功。工業製品の「製造」ノウハウを、人間の「制作」に転用するという当時としては画期的なアイデア。
しかし、それがやがてむしろ軋轢を生み足を引っ張りだすという皮肉。最終的に「人間と自動車は違う」という考えに辿り着くドラマ性が良い。

・マーヴィン・ゲイの『What’s Going On』がどういうメッセージ性の曲なのかはいちおう知っていたが、この映画を観て初めて前後の重要な流れがわかった。
各トラックが積みあがって曲が出来上がっていく様を可視化しており、感動的。

・(超個人的な興味だが)ジェームス・ジェマーソンの演奏シーンでは、装着したブリッジカバーに小指と薬指を乗せ、残る3本で弦を弾いているように見えた。なるほど。

・モータウンにも社歌があるって、さすがというかステキ。社歌ってどこか気恥ずかしいものだが、ユーモアも交えて作られたものならダサくないのかも知れない。

以上の結論として、この年代の音楽が少しでも好きな人や、仕事で音楽に関わる人は必見ではないでしょうか。
起業・ビジネス、あるいはカルチャー方面に興味があるような人も観てけっして損はない内容。人種問題についても重要なトピックとして触れられ、見ごたえがある。