東京から大阪に転居して6年目。住むところや食事、言葉の違いについて分かったこと。

一般企業では7月1日だったり10月1日着任での転勤は多いらしい。
つまりこの夏から秋にかけて、大阪への転勤が決まって東京から引っ越してくる人もおられるはず。

私はこちらにきて6年目。
いい大人になってから移り住んだ大阪は新鮮で楽しく、いまだに観光気分だ。
同時に、東京との違いについてことあるごとに考えてきた。
大阪ビギナーのおじさん的主観ではあるが、このエントリーがほんの少しでも新生活を楽しくするネタになれば嬉しいです。


住むところについて

 大阪の経済は北側の大阪駅・梅田駅エリア(キタ)から南側の難波(ミナミ)の南北、つまり地下鉄御堂筋線や堺筋線のエリアに集中している。
無理やり東京にあてはめれば、千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区が縦断しているようなイメージだ。

つまり、勤務地にもよるが、この圏内にアクセスしやすい路線地域に住むと何かとはかどるはず。
電車の込み具合についても、東京と比べるとはるかに楽な路線が多い。
御堂筋線など一部を除けば、極端なラッシュが常態化しているような路線はあまり聞かない。

なお、たとえば東京で吉祥寺や白金に住んでいた人が
「大阪でも同じようなところに住みたい」
と言ったところでそう感じるエリアはおそらく大阪にはない。
良い・悪いではなく、やはりいかにも東京らしい風景は東京にしかないと思う。

転勤で東京から移住するなら「北摂地域」が楽かも

転居にあたり私自身がしぼりこんだのが「北摂地域」である。
(市でいえば豊中市、箕面市、池田市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市あたりのエリアが北摂地域)
もし通勤などの都合がつけば、候補としておいて無難だろう。

なぜなら大阪濃度が薄めで“大阪ビギナー”でもなじめる可能性が高いエリアだからだ。
他県出身の転勤族もここを勧められて住むことが多いと耳にする。
つまり、同じような境遇の人がそれなりの割合でいるということになる。

また、茨木市や高槻市からは京都の中心地へもすぐ行ける距離だという事実も、ワクワクする要素だとおもう。
JR高槻駅から京都駅まで新快速で12分だ。

ためしに周囲7~8人に聞いてみたが、北摂なら無難という意見で一致した。
また、同時に都会暮らしを満喫するなら、
「大阪市内の北区や中央区もおすすめ」
という声もあった。たしかに都会ど真ん中でありつつ、東京ほど過密ではなく商店街も多く大阪らしい風景も楽しめる。

なお、ひとくちに北摂と言っても広いエリアなので、細かく現況を調べるには「マンションノート」のようなサイトで個別に探っていくのが良いと思う。

もちろん他にも大阪は魅力的な地域があるので、北摂だけにこだわる必要はない。
個人的には海沿いの街にあこがれるので、たとえば阪南市も魅力的に感じる(阪南市は治安も良いことで有名)。
特に和歌山県寄りの大阪湾は、東京湾と比較にならないキレイさだと思う。

あとは府内のどこに住むにしても、市区町村ごとの犯罪発生率も見ておくと参考になるはず。
平成30年中の犯罪統計(大阪府警)

大阪での食事

自炊の場合、スーパーへ買い出しに行ってもそれほど東京と差を感じないだろう。
たとえば沖縄のスーパーのように南洋の魚やサーターアンダギーが必ず売られているような個性はあまりない。
しいていえば関西・中四国が産地の食材が多めだったり、東京ではあまり見なかった鱧(はも)を売っている頻度が高いぐらいだろうか。
というわけで、ここでは外食を中心に考えていきたい。

鱧

外食のお値段

大衆的なお店なら5%~10%程度、おそらく平均して東京より安めではないかと思う。
オフィス街でもランチ680円でボリュームたっぷり、みたいなお店がそれなりに充実しているような印象(主観です)。

東京1,013円/大阪936円という2019年の最低賃金の差があり、多少は関連していると推測できる。
もう一つ、値付けに影響しそうなのは店舗の賃料。
飲食店.COMという情報サイトによれば、2019年8月26日現在で東京都港区の平均坪単価は30,396円、大阪市中央区は18,970円のようだ。
ただし、最高坪単価は東京都港区で97,077円、大阪市中央区で97,212円と横並び。
つまり場所によるもののたいてい大阪のほうが賃料は安いというわけで、やはり外食の値付けと関連があるはず。
参照:飲食店.COM 港区の賃料相場情報
参照:飲食店.COM 大阪市中央区の賃料相場情報

あとは、武士の町だった江戸・東京に比べて、大阪あきんど的な気質で、”値打ち(コスパ)重視”という風土も影響しているかもしれない。

粉もんとカレー

東京と比較して特徴的なのは、たこ焼き・お好み焼きに代表される粉もんと、カレー。

私自身は今のところ大阪で粉もんがハズレの店には当たったことがないし、軒数も多い。
民家の軒のようなところで開業しているのを含めて、さびれた郊外でもたいてい駅から半径100m以内に複数のたこ焼き屋がある。

カレー店は大阪市内全域が激戦区だ。
大阪でしか見ないチェーン店も多く、競争の激しさからか総じてレベルは高い。

いわゆる「B級グルメ」が好きな人なら、これだけでも住んでいて楽しい要素が増えると思う。

なお、居酒屋でポピュラーなもつ煮込みは、関西ではどて焼きというメニューとして提供されることが多く、少し味噌に甘さがあるものに変わる。
これは好みが分かれるだろう。
個人的には関東の塩っぽい煮込みのほうが好きなので、たまに関西でそれと出会うと嬉しくなる。また、たいていの居酒屋のメニューには串カツも入っている。

そのほか、ギュッとごはんが詰まっている大阪の箱寿司もぜひ一度は味わいたい。
もちろん箱寿司を食べられる店は東京にもあるが、店舗数が比ではない。

言葉は「ありがとぉ」と「かしこぉ」がイイ!

こちらに来て、とても好きな言葉・習慣が2つある。
1つ目は、お店でお金を払う時にお客のほうが「ありがとぉ~」と言う習慣。
イントネーションはあ→り→が→と↑ぉ↓~。
私自身はまだ「どうもです」とか「ごちそうさまでした」みたいな当たり障りのないことを言ってしまうのだが、ネイティブな大阪人が発するのをいいなあと思って聞き入ってしまう。

2つ目は、幼児に対して多用する「かしこいなぁ~」とか「かしこぉ」。
ニュアンス的には「いい子だね」が一番近いはず。
東京にいた時「賢い」は頭がよく利口という意味のみで、ましてや幼児に使うことはあまりなかったと思う。
子どもたちを、大人が明るく慈しむような感じがして温かい気持ちになる。

”指詰め”という言葉に一瞬ギョッとする

電車やバスで軽やかな女性の声で流れる
「扉が開きます。指詰めにご注意ください。」
というアナウンス。
指を挟むことを大阪では”指詰め”というようだ。
関東圏の人は、ヤクザがしくじって小指を切断するアレを思い浮かべてしまうのではないだろうか。
些細なことだが、公共のアナウンスにもこういう違いが表れるのがちょっと面白かったのでメモ。

「大阪はガラが悪くて怖いか」という問題

ぶっちゃけ、このガラの悪さが気になる人は多いのではないだろうか?
たしかに難波などの繁華街に行けば反社会勢力っぽい人やそれに準ずる人をよく見る。

いちおうガラの悪さと関連しそうな数値も見てみよう。
警視庁発表の犯罪件数(刑法の認知件数)は、平成28年の東京都で134,619件、大阪府122,136件。
そして平成29年10月の人口は東京都13,742,906人、大阪府8,831,642人。
単純に人口で犯罪件数を割ると東京都0.0097件、大阪府0.0138件。
これを意味のある差と考えるべきかどうか判断はつかないが、なんとなく感覚的には、この僅差が「ガラの悪い人の割合」の差にも見える。

言葉づかいの面では、「なんやコラ」や「しばき倒すぞ」と発言する人も確かにいる。
ただしそれは関東の人が思うよりも軽いニュアンスであることが多い……らしい。

ある時、アグレッシブな祭りが開催されることで有名な地域出身の男性(※普通のビジネスマンです)に
「なんですぐ“死ねや”とか言うの?ギョッとするんだけど。」
と尋ねてみた。
すると
「あるていど親しい相手へのツッコミなんですよ。傷つけようとかケンカを売ろうとかではなく。」
と説明された。
意図を知ってしまえば、そういう場面に遭遇しても動じずにすむかも知れない。

なお、私個人が普段接している人(お取引先、仕事仲間、ご近所さん、商店で買い物するときの店員さんなど)は、いたって普通。
むしろ大阪らしいフレンドリーな心地よさがあるし、明るいと感じることはあれど怖いと感じることは一切ない。

フレンドリーと言えば、信号待ちをしている時に見知らぬオッチャンに話しかけられる回数が増えた。
「うーさぶっ!今日はさむいなぁ?(ニカッ)」みたいな。
そしてそれ以上絡むわけでもなく、オッチャンは颯爽と去っていくのである。
タクシーに乗ったら運転手さんが「にいちゃんがんばりや」とイチゴ1パックをくれたこともあった。
先日は病院の初診で受付のおばちゃんに世間話を振られるという新鮮な体験もした。

 

ボケとツッコミ問題

大阪では「ボケないとダメ」「ツッコまないと怒られる」というのも、私が見聞きする範囲では、ほとんどない。
そんなテンションの高い芸人のような人はそうそういないし、過剰にボケやツッコミを繰り出したり他人に求めたりする人は世界のどこであろうとみんなにウザがられるだろう。

その集団の性質やムードにもよると思うし、昔と比べてそういう濃度は薄まってきているのではないだろうか。
そもそも大都会なので別の地方の出身者が多く、生粋の大阪人自体がマイノリティかもしれない。

ただ、ふとした時のツッコミが抜群に面白い人は多く、そこはさすが大阪!と思うことはよくある。

不満なところ

各種イベント・展示などはやはり東京の一人勝ち。
美術展示などはそもそもの施設数や設備の都合もあるので仕方がないと思うが、海外ミュージシャンのコンサートなどは東京だけの開催というパターンも多く、思ったより大阪はスルーされるなという印象。
その代わり文化的なイベントは京都限定のものなんかもあって、京都ならすぐに足を運べるのでトントンになることもあるだろう。
その他、地域・位置情報が関連するスマートフォンアプリも当初は東京限定でサービスインすることがかなり多い。たとえば配車アプリとか。

また気候に関して、気温そのものはほとんど東京と変わらないはずだが、緯度の差なのか「夏の日差しが殺しにかかってくる本気度」が大阪の方がちょっと高い気がする。

 

違いを言い出せばキリがないけど、たぶん結局そんなに違わない

大阪に限らず不安を抱えた状態でその土地で嫌な出来事に遭遇すると「東京ではこんなことはなかった!」という認識になりがちだろうし、逆もまたしかり。
ここまであーだこーだと書いておいて元も子もないが、同じ日本の大都市なので、地域に起因する違いは誤差の範囲と考えて良いのではないだろうか。

私自身が戦々恐々としていた面があったので、もし同じように思われている方がいれば
「そこまでは違わないので、たぶん大丈夫ですよ」
とお伝えしたい。