東京から大阪に移住してわかった、住むところ・食事・言葉の違い

世の中の会社では年度初めだけではなく、7月1日だったり10月1日着任での転勤も多い。
つまりほぼ1年中に渡って、大阪への転勤が決まって東京から引っ越してくる人がいるということだ。

私は2013年に東京から転居した(東京で住んでいたのは豊島区・中野区・練馬区と東京23区の北西で庶民的なエリア)。
いい歳になってから移り住んだ大阪は新鮮で楽しく、いまだに観光気分ですらある。
同時に東京との違いについて、ことあるごとに考えてきた。
このエントリーはそんな大阪ビギナーのおじさん的主観で書かれたものだが、少しでも新生活の不安や疑問を解消する小ネタにでもなれば嬉しい。


大阪府内での住むところについて

 大阪の経済は北側の大阪駅・梅田駅エリア(キタ)から南側の難波(ミナミ)の南北、つまり地下鉄御堂筋線や堺筋線のエリアに集中している。
無理やり東京にあてはめれば、千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区が縦断しているようなイメージだ。

つまり、勤務地にもよるが、この圏内にアクセスしやすい路線地域に住むと何かとはかどるはず。
電車の混み具合についても、東京と比べるとはるかに楽な路線が多い。
御堂筋線など一部を除けば、東京レベルの極端なラッシュが常態化している路線はあまり聞いた記憶がない。

なお、たとえば東京で吉祥寺や白金に住んでいた人が
「大阪でも同じようなところに住みたい」
と言ったところでそう感じるエリアはおそらく大阪にはない。
良い・悪いではなく、やはりいかにも東京らしい風景は東京にしかないと思う。

転勤で東京から移住するなら北摂地域が「とりあえず楽」かも

転居にあたり私自身がしぼりこんだのが北摂地域である。
(市でいえば豊中市、箕面市、池田市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市あたりのエリアが北摂地域)
もし通勤などの都合がつけば、候補の1つとしておいて無難だろう。

なぜなら大阪濃度が低めとされ“大阪ビギナー”あるいは”大阪ちょっと苦手”でもなじめる可能性が高いエリアだからだ。
データがあるわけではないが、他県出身の転勤族もここを勧められて住むことが多いと耳にする。
つまり、同じような境遇の人がそれなりの割合でいるということになる。

また、茨木市や高槻市からは京都の中心地へもすぐ行ける距離だという事実も、ワクワクする要素だとおもう。
JR高槻駅から京都駅まで新快速でたった12分。京都の郊外に住むよりも早い。

ためしに周りの仕事関係の人7~8人に聞くという調査にならないような調査をしてみたが、北摂なら無難という意見で一致はしていた。
さらに都会暮らしを満喫するなら、
「大阪市内の北区や中央区もおすすめ」
という声もあった。たしかに都会ど真ん中でありつつ、東京ほど過密ではなく商店街も多く大阪らしい風景も満喫できる。

なお、ひとくちに北摂も大阪市内も広いエリアなので、細かく現況を調べるには「マンションノート」のようなサイトで個別に地域や物件単位で探っていくのが良いと思う。

さらにいうと、北摂地域にピンとこなくても選択肢が無限にあるのが大阪の懐の深さでもある。
個人的には海沿いの街にあこがれもあり、たとえば阪南市も魅力的に感じる。阪南市は治安も良いことで有名らしい。特に和歌山県寄りの大阪湾は、東京・お台場付近の水質とは比較にならないキレイさだろう。
住んだことがないのでいい加減なことは言えないが、たとえば関東にいて神奈川や千葉の海沿いにも魅力を感じていたような人なら、ちょっと気になる場所ではないだろうか。
参考:阪南市ホームページ

そして後述の「大阪はガラが悪いくて怖いか問題」にも関係するが、府内のどこに住むにしても市区町村ごとの犯罪発生率も見ておくと参考になるはず。
参考:平成30年中の犯罪統計(大阪府警)

大阪での食事

自炊の場合、スーパーへ買い出しに行ってもそれほど東京と差を感じないだろう。
たとえば沖縄のスーパーのように南洋の魚やサーターアンダギーが必ず売られているような個性はあまりない。
しいていえば西日本が産地の食材が多めだったり、東京ではあまり見なかった鱧(はも)が売られている頻度が高いぐらいだろうか。
というわけで、ここでは外食を中心に考えていきたい。

鱧

外食のお値段

大衆的なお店ならおそらく平均して5%~10%程度、東京より安めではないかと思う。
オフィス街でも”ランチ680円でボリュームたっぷり”みたいなお店がそれなりに充実しているような印象(主観です)。
これは東京1,013円/大阪936円という2019年の最低賃金の差があり、少なからず関連しているだろう。

もう一つ、値付けに影響しそうなのは店舗の賃料。
飲食店.COMという情報サイトによれば、2019年8月26日現在で東京都港区の平均坪単価は30,396円、大阪市中央区は18,970円のようだ。
ただし、最高坪単価は東京都港区で97,077円、大阪市中央区で97,212円と横並び。
つまり場所によるもののたいてい大阪のほうが賃料は安いというわけで、やはり外食の値付けと関連があるはず。
参照:飲食店.COM 港区の賃料相場情報
参照:飲食店.COM 大阪市中央区の賃料相場情報

あとは、武士の町だった江戸・東京に比べて、大阪あきんど的な気質で、”値打ち(コスパ)重視”という風土も影響しているかもしれない。

粉もんとカレー

東京と比較して特徴的なのは、たこ焼き・お好み焼きに代表される粉もんと、カレー。

私自身は今のところ大阪で粉もんがハズレの店には当たったことがないし、軒数も多い。
民家の軒のようなところで開業しているのを含めて、さびれた郊外でもたいてい駅から半径100m以内にたこ焼き屋がある。

カレー店は大阪市内全域が激戦区だ。
大阪でしか見ないチェーン店も多く、競争の激しさからか総じてレベルは高い。

いわゆる「B級グルメ」が好きな人なら、これだけでも住んでいて楽しい要素が増えると思う。

なお、居酒屋でポピュラーなもつ煮込みは、関西では「どて焼き」というメニューとして提供されることが多く、少し味噌に甘さがあるものに変わる。
これは好みが分かれるだろう。
個人的には関東の塩っぽい煮込みのほうが好きなので、たまに関西でそれと出会うと嬉しくなる。また、たいていの居酒屋のメニューには串カツも入っている。

そのほか、ギュッとごはんが詰まっている大阪の箱寿司もぜひ一度は味わいたい。
もちろん箱寿司を食べられる店は東京にもあるが、店舗数が比ではない。

言葉は「ありがとぉ」と「かしこぉ」がイイ!

こちらに来て、とても好きな言葉・習慣が2つある。
1つ目は、お店でお金を払う時にお客のほうが「ありがとぉ~」と言う習慣。
イントネーションはあ→り→が→と↑ぉ↓~。
私自身はまだ「どうもです」とか「ごちそうさまでした」みたいな当たり障りのないことを言ってしまうのだが、ネイティブな大阪人が発するのをいいなあと思って聞き入ってしまう。

2つ目は、幼児に対して多用する「かしこいなぁ~」とか「かしこぉ」。
ニュアンス的には「いい子だね」が一番近いはず。
東京にいた時「賢い」は頭がよく利口という意味のみで、ましてや幼児に使うことはあまりなかったと思う。
関西特有の明るさで大人が子供を慈しむような感じがして、温かい気持ちになる。

”指詰め”という言葉に一瞬ギョッとする

大阪の電車やバスに乗った際に軽やかな女性の声で流れる
「扉が開きます。指詰めにご注意ください。」
というアナウンス。
指を挟むことを大阪では”指詰め”というようだ。
関東圏の人は、ヤクザがしくじって小指を切断するアレを思い浮かべてしまうのではないだろうか。
些細なことだが、公共のアナウンスにもこういう違いが表れるのがちょっと面白かったのでメモ。

「大阪はガラが悪くて怖いか」という問題


ぶっちゃけ、このガラの悪さが気になる人は多いはずですよね。
たしかに難波などの繁華街に行けば反社会勢力とか半グレっぽい雰囲気の人をよく見る。

いちおうガラの悪さと関連しそうな数値も見てみよう。
警視庁発表の犯罪件数(刑法の認知件数)は、平成28年の東京都で134,619件、大阪府122,136件。
そして平成29年10月の人口は東京都13,742,906人、大阪府8,831,642人。
単純に人口で犯罪件数を割ると東京都0.0097件、大阪府0.0138件。
これを意味のある差と考えるべきかどうか判断はつかないが、なんとなく感覚的には、この僅差が「ガラの悪い人の割合の差」にも見える。

言葉づかいの面では、「なんやコラ」や「しばき倒すぞ」と発言する人も確かにいる。
ただしそれは関東人が思うよりも軽いニュアンスであることが多い……らしい。

ある時、アグレッシブな祭りが開催されることで有名な地域出身の男性(※普通のビジネスマンです)に
「なんですぐ“死ねや”とか言うの?ギョッとするんだけど。」
と尋ねてみた。
すると
「あるていど親しい相手へのツッコミなんですよ。傷つけようとかケンカを売ろうとかではなく。」
と説明された。
意図を知ってしまえば、そういう場面に遭遇しても動じずにすむかも知れない。

なお、私個人が普段接している人(お取引先、仕事仲間、ご近所さん、商店で買い物するときの店員さんなど)は、いたって普通。
むしろ大阪らしいフレンドリーな心地よさがあるし、明るいと感じることはあれど怖いと感じることは一切ない。

フレンドリーと言えば、信号待ちをしている時に見知らぬオッチャンに話しかけられる回数が増えた。
「うーさぶっ!今日はさむいなぁ?(ニカッ)」みたいな。
そしてそれ以上絡むわけでもなく、オッチャンは颯爽と去っていくのである。
タクシーに乗ったら運転手さんが「にいちゃんがんばりや」とイチゴ1パックをくれたこともあった。
先日は病院の初診で受付のおばちゃんに世間話を振られるという新鮮な体験もした。

ボケとツッコミ問題

ボケとツッコミ
大阪では「ボケないとダメ」「ツッコまないと怒られる」というのも、私が観測する範囲では、あまりない。
そんなテンションの高い芸人のような人はそうそういないし、過剰にボケやツッコミを繰り出したり他人に求めたりする人は世界のどこであろうとみんなにウザがられるだろう。

その集団の性質やムードにもよると思うし、昔と比べてそういう濃度は薄まってきているのではないだろうか。
そもそも大都会なので別の地方の出身者が多く、生粋の大阪人そのものがマイノリティかもしれない。

ただ、ふとした時のツッコミが抜群に面白い人は多く、そこはさすが大阪!と思うことはよくある。

地震など災害について

やはり3.11の震災以降、敏感になっている方も多いはず。
私の感覚としては、東京にいたころよりも有感地震がハッキリと減った。
気象庁の現時点での最新データも見てみよう。

気象庁 地域別、規模(マグニチュード)別地震回数表 より

もちろん年度によって違うだろうが、関東の合計値が57094、近畿が17814となかなかの差がある。

ただし、忘れてはならないのが2018年の大阪北部地震。
大阪に住んでいる人以外にはなぜか記憶に薄いようだが、2018年6月18日、最大震度6弱の地震が襲い、家屋などに大きな被害が出た。学校の塀が崩壊して小学生が犠牲にもなるという大変痛ましい事件も起きた。
私も震源地近くに住んでいるため大きな揺れと共に電気水道が止まり、復旧するまで不安な時間を過ごしたことが忘れられない。
近所には、いまだにビニールシートで覆ったまま修繕がままならない家屋もある。

普段の地震は少ないのはたしかだが、南海トラフ地震が発生したら関東よりも被害は大きいだろうし、大阪のほうが東京よりも地震のリスクが小さいということは全くないはずだ。

また、2018年は台風21号も大阪を直撃した。
この時も、9月初旬の暑さのなかで電気が復旧するまで私の住む地域でも半日以上かかったし、建物へのダメージも甚大だった。
平成30年台風第21号(ウィキペディア)

不満なところ

各種イベント・展示などはやはり東京の一人勝ち。
美術展示などはそもそもの施設数や設備の都合もあるので仕方がないと思うが、海外ミュージシャンのコンサートなどは東京だけの開催というパターンも多く、思ったより大阪はスルーされるなという印象。
その代わり文化的なイベントは京都限定のものなんかもあって、京都ならすぐに足を運べるのでトントンになることもあるだろう。
その他、地域・位置情報が関連するスマートフォンアプリも当初は東京限定でサービスインすることがかなり多い。たとえばタクシー配車アプリとか。

また気候に関して、気温そのものはほとんど東京と変わらないはずだが、緯度の差なのか「夏の日差しが殺しにかかってくる本気度」が大阪の方がちょっと高い気がする。

違いを言い出せばキリがないけど、たぶん結局そんなに違わない

大阪に限らず不安を抱えた状態で過敏になっている時に嫌な出来事に遭遇すると「東京ではこんなことはなかった!」という認識になりがちだろうし、逆もまたしかり。
ここまであーだこーだと書いておいて元も子もないが、同じ日本の大都市なので、地域に起因する違いは誤差の範囲と考えて良いのではないだろうか。

私自身が戦々恐々としていた面があったので、もし同じように思われている方がいれば
「そこまでは違わないので、たぶん大丈夫っすよ。まずは先入観を捨ててぜひ。」
とお伝えしたい。